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    • 2017.06.25 Sunday
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    ビルマホシガメの「孵化温度と性決定」(海外の実践例)

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      この記事は、ビルマホシガメの孵化温度と性決定について、海外ブリーダーの実践技術を紹介する。

      まずはじめに、繁殖における孵化温度と性決定について説明し、次にビルマホシガメの雌の入手困難と集団感染死のリスクについて言及し、最後に海外のブリーダーの孵化技術を紹介したい。

       

       

      繁殖における孵化温度と性決定

      まず「孵化温度による性決定」について説明したい。

      爬虫類の子供の性決定と孵化時の環境温度の関係は、1960年代後半から研究者の間で議論され、近年までの研究蓄積の結果、「孵化時の環境温度によって爬虫類の子供の性別が決定する」ことが定説となっている。

      (森リクガメ研究所では1990年代までの研究動向が日本語で整理されている「温度による性決定(TSD)PART(1))」。その後の研究動向はKarla T. Moeller氏の2013年の研究ノート「Temperature-Dependent Sex Determination in Reptiles」が詳しい)。

       

      こんにちの海外のブリーダーや動物園の間では、「孵化温度による性決定」は繁殖技術の一つとして採用され、その試行錯誤・実験の結果が専門誌やウェブサイト上で公開されている。今回は、ビルマホシガメの孵化実践例を紹介するが、STAR TORTOISE.NETでは、インドホシガメの実践例も多数掲載されている。関心のある方は、訪れて貰いたい。

       

       

      国内CB雌個体の入手困難と感染症による集団感染死のリスク

      次に、ビルマホシガメの雌の入手困難についてである。

      ビルマホシガメの輸入規制以降、コンスタントに国内繁殖個体が供給されているが、これらの国内CB個体から繁殖をねらう新規飼育者が抱える共通の問題が、雌を確保できないことである。

      現在、リクガメの中では高値で取引されるビルマホシガメを何匹も購入している方の中には、成長と共に判別する購入個体の性別が「すべて雄」の方も珍しくない。1匹20万ほどするカメを4、5匹購入し、数年後すべて雄であることが判明したときの思いは、心中をお察しするに余りある。

       

      「雌の入手困難」は、単に「悲劇」として片付けられる問題ではなく、国内CB個体の将来的な安定供給にとって深刻な問題で、現在のブリーダーや繁殖・販売業者が保有する雌が、万が一病気や感染症で著しく減少した場合、CB個体の供給が途絶える可能性を示唆しているのである。

       

      ビルマホシガメのブリーダーや飼育者がご存じかはわからないが、ビルマホシガメは感染症の一種であるラナウイルスのキャリアで、何らかの原因で発症した場合、他の両棲爬虫類を巻き込む集団感染が生じる可能性がある(Rachel E. Marschang, Virus infecting Reptils,. 2011 Nov; 3(11): 2087–2126. 「アメリカにおける野生下および飼育下のハコガメ・リクガメ類のラナウイルス感染」(環境省自然環境局野生動物課『平成20年度 カエルツボカビ実態把握調査検討報告書』所収、54頁)宇根有美「両生類のラナウイルス感染」『モダンメディア』2009年55巻7号。)。

       

      ラナウイルスは、ヘルペスウイルス同様、治療方法がない感染症で、壊死性の口内炎、食道炎、内臓の壊死により短期間に死に至る感染症である。とくに、国内CBでない個体は、未発症状態のラナウイルスのキャリアの可能性もあり、集団感染死のリスクが常にあるのである。

      これは異種混合飼育への警鐘だけでなく、将来的な国内のビルマホシガメの「種の保存」とも関係するものだと私は考えている。

       

      したがって、将来的な国内CBの安定供給のためにも、ブリーダーや繁殖・販売業者が雌の作出に成功し、ブリーディング意欲のある方の元へ、CB雌個体が届くことが望まれる。

      コンスタントな繁殖は、種と飼育個体に対する惜しみない愛情を前提に、多大な労力を必要とするため、容易にできるものではないと思われる。結婚、出産、転居、病気など、人生の転機で継続が難しくなることは容易に想像される。

      ブリーディング意欲がある方のもとに繁殖をねらえる雌雄個体が届くことが、将来的なビルマホシガメの「種の保存」に繋がると考えられるのである。

       

       

      海外の「雌個体作出」をねらった繁殖実践例

      ビルマホシガメの雌の作出は、コツがいるようで、海外のブリーダーも試行錯誤を重ねている。

      共通している点は、加温前に「冷却期間(休眠期間)」を設けていること、加温時の高めの温度設定である。

      以下、STAR TORTOISE.NETで整理されている公刊物(論文、雑誌、ウェブサイト)に記載されたブリーダーらの実践例を、日本語で紹介する。


      1.Jerry D. Fifet氏と Drew Rheinhardt氏による実践例

       

       ・産卵後の卵を、23.9-26.1度の部屋に一週間置く。

       ・その後30日間、18.3-21.1度で冷却する。

       ・冷却期間後、室温で一週間管理。

       ・その後にインキュベーターの中に入れ、27.8-31.7度で加温する。

       低温は雄、高温は雌が、およそ90日後に生まれる。

       

      (『The Batagur』2013年3号)

       

      2.Gerald Kuchling氏、Eric Goode氏、Peter Praschag氏による実践例

       

       ・バーミキュライトを半分の重さの水で湿らせる(バーミキュライト:水=2:1)。

       ・産卵後6-8週間、室温で休眠させる。

        部屋の温度は21-28度だが、自然な気温の上下に任せている。

       ・休眠期間の後、28.9度もしくは30度に設定したインキュベーターで加温する。

        およそ115-124日後に孵化する。

       ・28.9度で加温した場合、雄:雌は9:1に、30度の場合は、5:4.7になる。

       

      (Endoscopic Imaging of Gonads, Sex Ratio and Temperature Dependent Sex Determination in Captive Bred Juvenile Burmese Star Tortoises Geochelone platynota, Asian Herpetological Research, 2011, 2[4]:240-244に記載。)

       

      3. Chris Leone氏(ソリガメの記事で紹介したブリーダー)

       

       ・デリカップ(プラスティック容器)に乾燥したバーミキュライトを入れ、卵を入れて蓋をし、18.3度、湿度70-80%で30日間冷却する。蓋には通気穴をいくつかあけておく。

       ・その後、湿ったバーミキュライトが入ったデリカップに卵を移し(バーミキュライト:水=1:1)、蓋をし(この蓋にも通気穴をあけておく)、湿度80-90%、温度30-32度に設定されたインキュベーターで加温する。88-122日で孵化する。

       

      GardenStateTortoise.com。『Reptailes Magazine』2016年11・12月号)

       

       

      以上、「孵化温度による性決定」と「国内CB雌個体の入手困難と感染症による集団感染死のリスク」、海外の「雌個体作出」をねらった繁殖技術を紹介した。

       

      ビルマホシガメを飼育し、愛好し、繁殖を考えてCB個体を集める私にとっても、「CB雌個体」の流通は大きな問題であるが、ヘルペスウイルスによる集団感染死の経験があるため、ラナウイルスへの危機感を持っている。

      海外ブリーダーの繁殖技術の公開・普及を望まないブリーダーもいるかもしれないが、ビルマホシガメが今後も日本国内において飼育できる環境を整えることも、愛好家の責務だと考え記事にした。

       

      ビルマホシガメ飼育者の方々には、この記事をできるだけ色々な方に広めて頂きたいと思う。

      また他のリクガメの飼育者であっても、ビルマホシガメを飼育している知人・友人へ伝えて頂きたい。

      ビルマホシガメの繁殖技術の全体的な底上げが、将来的な「種の保存」へと繋がることを、私は確信している。

       

       

       

      代表的な模索例は以上の3者の実践例だが、「雌作出」と関係ない事例も多数あるため、本記事の最後に翻訳・要約したものを記しておく。

      「雌作出」以外の繁殖実践例。

      Ken Siffert氏(Tortoise Forum、2014年3月)

       ・30日間、18.3度で休眠させる。

       ・その後、インキュベーターで29.4−31.7度で加温する。30度で加温した場合、性別比が1:1になる。

       ・31.7度の場合、雌が生まれるが、多甲にもなりうる。

       ・バーミキュライト:水=1:1。

       

      Toronto Zoo, Canada(Torontozoo.com、2016年8月

      この動物園は、過去二回繁殖に成功。「雌作出」は行っていない。

       ・休眠のために、産まれた卵を18-20度で、4週間冷却する。

       ・その後28-30度でインキュベーターで加温する。生まれてから135-230日で孵化する。

       

      Wildlife Conservation Society's Wildlife Survival Center(TSA newsletter、2003年8月)

      野生動物保護団体の孵化事例。

       ・21.1度(70℉)の部屋で38-40日間、乾燥したバーミキュライトに置いておく。

       ・その後、28.9度(84℉)に設定されたインキュベーターにうつし、108-116日加温する。

       

      San Diego Zoo(TSA newsletter、2008年8月)

       ・生まれてから一ヶ月間、18度で管理する。

       ・その後、30度に設定されたインキュベーターにうつし加温、128-135日で孵化する。

       

      参考文献

      STAR TORTOISE.NET http://startortoises.net/incubation.html[accessed May 19th, 2017]

       

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        • 2017.06.25 Sunday
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        • 19:07
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        コメント
        貴重な情報ありがとうございます。

        iZooでもクーリング期間を設けていて、不思議な感じがありましたが、ここまでたくさんの事例を見ると、発生のしやすさに影響があるのかな?と思いました。

        うちの子はブリーダーさんいわく“メスだ”とのこと。
        正直、今のサイズでは全くわかりません…が、もしそれが合っていた場合は臨時お婿さんとして、どなたかからオスをお借りして繁殖に臨みたいと思っています。
        可能ならオス個体を買いたいんですけどね…。
        まころんさん

        おはようございます。
        コメントをいただき、ありがとうございます。

        izooでは休眠させているんですか。
        そうなるとベテランブリーダーの方では、共有された繁殖技術なのかもしれませんね。

        ポッシブルの雌をお持ちのようで、羨ましい限りです。
        是非是非、繁殖を頑張ってください!
        日本のビルマホシガメの未来は繁殖意欲のある方々にかかっていますから。

        繁殖ができるようになるまで5、6年ありますから、雄も導入もゆっくり検討なさってください。
        東レプで○ポニさんが30cmの雄を、○イワさんと○ウリアさんがが国内CBを販売していましたよー。
        • ちゃかぽん
        • 2017/05/23 7:10 AM
        ご返信ありがとうございました。

        iZooのアルダがその方法のようです。
        他の亀はちょっと分かりませんが…。
        野毛山のクモノスやヘサキをどう孵化させたのかも気になってくるところですね。
        確か孵化についてまとめてあったと思うので、今度行くときによく見てみたいです。

        ビルマホシガメ、おかげさまで非常に活動的です。
        偏食以外は非常に良い個体だと思っています。
        ただ、活動や食欲を見る限りではオスなんですよね…。

        オスのお迎えに関してですが、できたらおむかえしたいところです。
        オスはアダルトでもベビーと同じくらいの値段で売っていたりするので、今の子がオスメス確定してからでも遅くないと思っています。
        あとは家族のOKが出るかどうか、なんですよねー💧

        東レプ、行ってはいないのですが、教えてくださる方がいました。
        36cmのメスはさぞ圧巻だったでしょうね。
        オスの30cmも非常に気になるところです。
        個人的に、その種の最大サイズの個体に憧れています。
        まころんさん

        おはようございます。

        ビルマベビーが順調のようで何よりです。
        食べさせたいものを与え続ければ、カメは空腹になると渋々食べますので、フード以外の葉物(小松菜・青梗菜)を食べたことあるならば、偏食は直ります。
        カメの小腹がそこそこ満たされている状態で、嗜好性の高いものだけ食べている行動を、飼育者が「偏食」と捉えているだけです。

        人間が食する野菜やリクガメフードは、カメにとって高タンパク質ですので、結石予防として、温浴や水分量の多い野菜の給餌(レタス・キュウリ)をおすすめします。
        屋外飼育の場合、太陽光による活性化によって自然な排泄のメカニズムが維持されますが、屋内ケージですと、運動不足・排泄不順になり、尿酸の結晶化が進行しやすくなると考えられます。
        お気を付け下さいませ。

        36cmの雌。
        自然下や環境団体の保護飼育下では見ないサイズした。
        私はほどほどの大きさの方が好みです。
        • ちゃかぽん
        • 2017/05/24 7:39 AM
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